農鳥岳大唐松尾根

【日程】2018/12/28-31

【レポート】

農鳥岳に突き上げる大唐松尾根に行ってきました。毎年恒例の長野さんと。去年は、涸沢岳西尾根。数年前は、間ノ岳に突き上げる弘法小屋尾根。この時は、厳冬期にバリエーションから3000mに達した!喜びが大きかった。下山時には、隣の尾無尾根もやろう!と話してた。が、取り付きなどを考えると大唐松尾根がベター。記録を探すと秋にも歩かれているようだ。今年は暖冬で初日に雪が取れるのか?がネック。でも、北アだと悪天に捕まるのは明白。直前までルートを検索してたが、車が無くバスを予約した時点で農鳥岳に決定。

 12/27バスタ発、0時に公民館脇に幕。翌28日バスで奈良田へ8:30。9時雨池山への登りへ。鉄パイプで誘導・手すりが有難いが、急登・枯葉で歩きにくいこと。九十九折で尾根に上がると秋山ハイク。久々の重荷に肩がやられ、雪のない冬靴は腿にくる。今日明日は寒波到来で風が強い。幸い、暑いくらいなので頑張れる。枯葉の、ラッセル・横滑りに耐えてようやく雨池山に着いた12時過ぎ。まだ雪はない。水は担いでないので雪のある所まで行かねば。と、一旦下ると笹原に雪が積もってる。まだ14時だが、明日も強風、そんなに上まで行けないでしょう。2000mあたりで幕。風の流れる場所で寒かった。冬山パートナーなので、阿吽の呼吸。整地・テント・お酒飲みながら水作り・夕食。18時には就寝。

 29日6時前から歩き出す。左の崖付近が道になっている模様。極たまに赤テープがあった。雪もくるぶし位ほど。案外柔らかい雪なのでラッセル状。9時ころ2346のジャンクションに着いた。ここでアイゼン装着。左に舵を切ると様相が一変する。痩せ尾根の急登。ガレや木登り等、さらにペースダウンを余儀なくされる。尾根上を行けば良いのだが、密藪だと回り込む。支尾根に乗らないよう主尾根に登り返す。ここも密藪だと体力消耗。さらに深雪になってくる。側面をトラバースしたり、絡み合ったシャクナゲにアイゼンまで絡んで発狂寸前。大方ハイマツにほっこり雪が被ってる状態なので足をかけてもすべて崩れる。膝を駆使し、腕を雪に刺して這い上がる。で、足を出すと落とし穴。はたまた、突風に煽られる。猛烈に腹が減ってきた。12時ころ大唐松山に着いた。腿まで埋まる。岩稜やトラバースが出てくるのでワカンは不向き。結局使わず終いだった。あんなに沈んだのに。隣の弘法小屋尾根の感覚でいたのでギャップに付いていけない。厭らしいクライムダウンもあるし、ザックが岩に挟まり足を空を蹴るなんてことも。このころが突風のピークだったかな。樹林を避けてそちらに歩を進めると、明らかにテンバ適地。しかも無風。巨木が揺れるほどの風が一跨ぎでこんなにも違うのか。まだ14時前。そんでも今日は8時間頑張ってんだよ。で幕。

外宴会できる?くらいの暖かさ。でルチーンをこなすと17時には就寝。やっぱ疲れてるもの。

 30日6時から激ラッセル。ほどなく最後の雪壁に出るのかと思いきや、次から次へ藪山が現れる。同じく尾根上で藪漕ぎしたり、トラバースで巻いてみたり。次第に表面がクラストしてきた。もう雪が締まって埋まらないかも?という期待ははかなく裏切られ中はフカフカ最中状という面倒は雪質に変わった。でようやく樹林帯を抜けた!一気に視界が開け心が躍る。心配していた突風が微風に変わった。最後の雪壁が突風じゃたまらんもの。予報通り、今日からは安定するのか。飲食して雪壁に備える、12時。左寄りの岩稜を避け右寄りを登る。案外埋まる。ルンゼを目指してたけど、この雪質じゃ岩・木が安心。で、ここを直登する。見た目より立ってるし、雪をかき分け岩に立ち、ハイマツを掘り起こしホールドにする。って感じでザイル欲しかったな。ま、足場は安定してるのでそのまま先を行く。本当に最後の雪壁だな。クラストしてるのでカシカシ行ける。でもふくらはぎがパンパン。ちょびっとハイマツの毎に呼吸を整える。時々ズボッと埋まる。消耗するが足休めになる。微風なのが救いだ。これ突風だったら泣くよ。100mくらいあったかな?ようやく傾斜が落ちた。ザック降ろして飲食する。長野さんは限界らしい。ここでテント張ろうと言う。冗談じゃねぇよ!一歩間違えば滑落じゃ。もう、主稜線は目前だ、頑張ろうと励ます。トボトボ進むと、風の影響か、鞍部になった平坦地があった。主稜線よりは風がしのげる。ここで幕、15時。スコップの柄が紛失してて、整地がはかどらない。もう、疲労困憊で適当にテント張ったら、ボコボコで2/3の面積しかなかった。18時就寝。私はラジオ聞いて20時まで。そのあたりから風が強まる。テントが押し寄せると体温が奪われ、真底冷える。もう乾いた手袋もなく、ひたすらに朝を待つ。でもヘッデン歩行は嫌なので4:30までは動かず。

 31日6:30スタート。4日目、3000m級、朝一。足が重くて上がらない。程よく硬くて、薄っすら粉雪状態で、アイゼンが横滑りして緊張する。長野さんアイゼンが不調ですぐ外れちゃう。農鳥岳はすぐそこだけど、ピストンは省略。縦走路にでればトレースがあると信じてた。大門沢下降点、8:30。トレースが無い!勢いよく足を置くと腿まで埋まり、頭からでんぐり返ししそうになる。トップは長野さん任せ。膝までラッセルだけど、やっぱ下りは早い。猛烈に暑い。樹林帯に入ると、単独さんがワカンラッセルして登ってきた!これで道が出来た。さらに2P登り、1P下りが入ったので、降雪までは高速道路よ。11:30小屋着。ここからも気が抜けないのよね。知ってるもん、で丁寧に下る。膝、足首、足裏、すべて疲れてる。引きずるように下り15時無事下山しました。

 どこか温泉宿に泊まりたい。でも大晦日、満室だらけ。バスで下部温泉駅まで。飛び入りで日帰り入浴させて頂きました。中華居酒屋も利用させて頂きました。下部ホテルさん感謝。今年の汚れ、今年のうちに! 天気には恵まれたけど、2人ラッセルは限度がある。で、大勢で雪山を堪能したいと思いました。いや~でも充実、満足です。

記録 玉木

黒稜山岳会

~ 遥かなる山の頂を目指して ~ 縦走、岩、沢、、雪稜、オールラウンドに活動。 当会では、新入会員を随時募集しています。 ご興味のある方は「お問い合わせ」からお気軽にご連絡ください。