南アルプス南部白峰南嶺

【日程】 2018/10/10-10/14 

【メンバー】 タマキチ (単独)

 【レポート】
白峰南嶺縦走行ってきました。過去に上半分を文ちゃんと・下半分を村上さん山科さんと、ともに2泊で北上した。これを繋げて4泊で南下しようと去年から決めていた。行くなら単独とも決めていた。昔は、長期単独縦走したもんだがね。億劫だし、そんな行動力が湧いてこなかった。一念発起、やっちゃるか~。同時に、単独縦走はこれで卒業かな?とも。 さて、出発が近づいた頃、台風により大門沢の橋が決壊し通行止めになった。当初で、北岳・間ノ岳・農鳥の白峰三山も経由することになる。 

平日なので夜行なし。10/10甲府9時のバスが最速~11時広河原から歩き出す。太陽も照りつけ暑いくらい。下山者とすれ違うと、後半は人ひとりいない。ま、明日からを思えば無人に慣れとかないと。八本歯のコースは未踏だった、いつもバットレス沢から登攀しちゃうから。このあたりでガス・小雨。山頂は省略し16時に北岳山荘へ。今夜は暴風らしい。で、素泊りにする。相部屋の女子も単独だ。ビール飲んだら、自炊部屋へ。先客がいて心和む。で、談話室の一等席でお湯割りを呑む。小屋は下界同然。

 11日5:30出発。雨も止んでご来光が拝めた、嬉しい。でも強風だ。7時間ノ岳・9:46農鳥岳・大門沢下降点に10:15着。当初の計画だと、ここに9:30、大した遅れじゃない。まだ風が強いが、おかげでガスの切れ間が出来て目視できる。広河内11時・大籠12:18・核心と思ってた白河内も難なく13時に到着。笹山まで余裕だぜぇ~、14:15南峰に着、幕営。ほどなく雨が降ってきた。さて、呑むか、が酒を欲しない。テルモス茶がうまい。風も出てきた。夕食にするか、が食欲がない。この暴風雨からの寂しさゆえか?荷を軽くするためにもなんとか飲食し横になる。睡魔がやってこない。半径5kmに人はいないんだろう、でも獣は絶対いる。怖いけど耳栓してなんとか眠る。あと3日も続くのか~。  

6時前出発、大雨だ。ここからの下りは分かりずらかった。おまけに雨だし。方角と、ピンクリボンを頼りに歩を進めるが、リボンが謙虚。こー来てあっち方面ならこの藪行くの?いやいや、これはあり得ない。迂回してるのか?右往左往してやっとこ踏み跡らしきに乗る、の繰り返し。樹林帯に入ってもピンクの謙虚さは変わらず。こんなザレの急下降はないな、で登り返すと、赤があったりする。9時には奈良田越に着いた。晴れた、大休止。ここから林道なんだけど、林道が分からず何度も同じとこに出てしまう。休み休みあっちか、こっちか。奈良田越まで戻り、丁寧に探せばすぐ分かった。1時間ほどロスしたな。林道の平坦歩きになると、足裏が擦れて痛い。早急に手当てするが、伝付峠から水4.5L積んだら遅々として進まない。明日には下山したい欲求が強く、先に進めなかった。林道終了点に幕とした。ここもだだっ広い森の中、心細さに拍車がかかる。でも、すぐ下に二軒小屋があるからか、携帯が繋がった。これは私の支えになった。色々迷ってきたから、どこまで来たか軌跡を伝えたかった。「明日、雨なら下山しよう」と決めると心がものすごーっく軽くなった。精神的にアップアップだった気がする。下山が決まったので、お酒も食事も美味しく頂きました。  

翌朝。なんと、星が出てる、テントもカラカラ。6時歩いてみると、靴擦れも大したことなさそう。ホント、今の今まで伝付から新倉に降り、バスで身延に出るはずだった。そんでも、前進しよう!という気持ちになった自分に嬉しいし褒めてやりたい。そうと決まれば頑張るのみ。昨夜は、2.5時間も手前で幕としたからな。この日はずっと快晴で暑いくらいで縦走の楽しさを思い出させてくれた。んが、ほどなく足裏が悲鳴を上げ始める。踵寄りはふやけてきてて、親指下はシルが出てる。土踏まずにもカットバンを張り、靴ひもを締め付け、靴内でずれないように固定する。踵はもう打撲様、あざになってるように痛い。ゆっくり歩を進める登りは堪えられるが、激下りはシンドイ。ズリっと滑っても踏ん張る力がない、滑落の恐怖。見渡せる笊ヶ岳に着いた。こういうとこは携帯は繋がる。安定剤だ。 布引山を越えると激下りの始まりハジマリ。今日は、所の沢越までだな。ここは水場。水を汲んで進めるほど、元気じゃない。でも、そこまでは辿り着かなければ。村上さん山科さんとは去年歩いたばかりだから記憶が鮮明。あれした、これした楽しい思い出を引っ張り出して鼓舞して歩く。14時には水も汲んだ、まだ晴れてる。前進したいが、足が止めろと言っている。また明日頑張れば良い。幕とする。が、水の近くだからか、鹿のなき声が聞こえる、至近距離で。テント張ってお茶を飲む。足裏の手当てをする。お酒を呑む。横になって休む。鹿が鳴く。ロケット花火を打ち上げる。を繰り返すうち、本当に立てなくなってきた。足裏全体があざになってる感じ。これはホントやばい。遭難がちらつく。でも、水は3Lあるし、ガスもある。2‐3日は食い繋げる。緊張のMAXでその夜はもう眠りたい・眠ろうなんて概念は捨てた。ほとんど徹夜で朝を迎える。  


4時には起きて、立ってみる。ゆっくりなら歩けそうだ。パッキングはしたが、いざとなったらザックはデポして行こう。時間かかりそうだから5:30暗い中出発。そう、稲又山への道も核心だった。行きつ戻りつ、神経は赤テープに注がれていた。足は痛かったが、半減された様に思う。一度休むと、その後の立ち上がりが恐ろしく痛いので、後はノン休憩で頑張る。私の中で、青薙山まで来れば救助される思いがあったので一つクリア。ちょっと食べて痛み止めのんで最後を振り絞る。笹原も迷いやすくて時間を要した。こっち方面ならこれを行くはず、でも赤がない。じゃ戻ろう、で赤に戻れない!失禁しそう。冷静に戻り軌道修正する。どんどこ標高を下げ暑くなる。歩き通してると痛みも大丈夫。池の平まで来た。ここからも激下り。一番の滑落の危険を伴う。丁寧・慎重にストック使って下る。林道が見えた。心底安堵して「助かったー」と泣けてきた。でも、車道歩き2.5時間が待っていた。激痛だったが、ここは人が通る。気持ちは楽だ。しかも炎天下並み。 白樺荘発14:40に間に合うし、20分入浴する時間もある。「1時間入りたかったな」「なんか食べたかったな」というと、体の奥から[無事に下りて来て、これ以上何を望むや?] もはや仙人の境地です。 色々、大変だったけど踏破できて感無量です。単独縦走の卒業ルートにふさわしい。 懲りずに、大門沢を朝一で入山して、3泊で南下したいという次の希望が光始める。

 報告 タマキチ 

黒稜山岳会

~ 遥かなる山の頂を目指して ~ 縦走、岩、沢、、雪稜、オールラウンドに活動。 当会では、新入会員を随時募集しています。 ご興味のある方は「お問い合わせ」からお気軽にご連絡ください。