【日程】2019/11/02-04
【メンバー】M上、ぬくぬく、ゆかぽん、A上、A原
【ルート】
11/2(土) 9:02麻布山登山口-11:08麻布山
-12:00前黒法師山-12:56打越峠-14:55バラ谷の頭-15:45黒バラ平
11/3(日) 7:23黒バラ平-8:22丸盆岳分岐
-9:30カモシカ平-10:00丸盆岳-11:52黒法師岳-14:50ヘリポート
11/4(月) 6:00ヘリポート-7:50前黒法師岳-10:27前黒法師岳登山口-11:05寸又峡温泉
【レポート】
南アルプス深南部。原生林と笹原が生い茂る静寂の山域。ここ何年か晩秋の時季に通っている。おととしは六呂場山~鹿ノ平。去年が寸又峡温泉を基点に、前黒法師岳と黒法師岳を登る周回コース。そして今回は麻布山始点でまず前黒法師山に立ち黒法師岳から丸盆岳をピストンし、前黒法師岳から寸又峡温泉に抜けるコースだ。あ、初めて目にする人にはややこしいだろうけど、西から「前黒法師山」「黒法師岳」「前黒法師岳」とあって、今回の山行はこの黒法師3兄弟すべての頂きに立ったのだよ。すごいぞ自分ら!
黒法師3兄弟は、長いアプローチ、途中水も得られず標識も少ない道の先に出逢える、なかなか硬派で渋メンな3兄弟である。おまけに、美しい黒バラ平、カモシカ平、ヘリポート平などの素敵な笹原や森を抱き、神の使いの鹿たちが縦横無尽に跳躍するような楽園もある。まあ山の竜宮城みたいとこです。みなさんも機会があれば行ってみてください。
前置きが長くなりましたが報告です。
11/2(土) 夜行バスで豊川駅に着いたのはまだ薄暗い土曜朝の5時。ここから飯田線に乗って水窪駅には8時着。予約していたジャンボタクシーが待っていた。くねくねの道をどんどん標高あげて麻布山登山口である野鳥の森は標高1260。登山口には数台の車にマイクロバス。
9:02野鳥の森を出発し麻布山へ向かう。麻布山は樹林帯の中に擬似木段がたくさんあり整備されている。山頂には麻布神社奥宮跡があり三角点はちょっと離れたところにあるらしいが展望がないとのことなのでパスした。山頂の東屋には「これより標示おわり ご無事で」なんて看板があって不安をあおられているような・・・。
ところどころ色づいた森を行き、戸中山を過ぎ、12時に前黒法師山に到着。黒法師3兄弟のまずは1山ゲッツ!
前黒法師山は樹林帯の展望のない山頂で、20人ほどの団体さんがいたがやがて下山していったら静寂が戻った。針葉樹と赤や黄色のもみじの森を抜ける。巨木の倒木が多くて越えるのも一苦労。足が攣ってしまう。やれやれ。打越峠からバラ谷の頭まで標高差500mの登りになる。ペースが落ちてきたA上さんの荷物をゆかぽんとぬくぬくが荷分けして背負ってくれた。うつくしい!
足元に笹が広がってくるとバラ谷の頭も近い。膝くらいの笹原だったが傾斜が出てくると背丈ほどの笹薮となる。泳ぐように両手で笹を掻き分ける。傾斜がゆるくなり青空が大きくなる。視界が広がりシラビソの立ち枯れが目立つ。一面の笹原の中から山頂を探すとぽっかり空間があり、そこが「バラ谷の頭」。展望がめっちゃ素晴らしい。ここに家を建てたいくらいだ。目の前の▲の黒法師岳、丸盆岳、不動岳に鎌崩。富士山は残念ながら雲の中。今日のお宿はバラ谷の頭を下ったところにある黒バラ平だ。さあ、もうひと頑張り。急な笹尾根を下り水場のコルで水を汲みに降りる。水で重くなったザックを背負いさらに笹尾根を下りる。
15:45黒バラ平到着。笹原には獣道がそこかしこにありところどころにヌタ場もあった。お気に入りのところにテントとツェルトを張った。焚き木を集め小さな焚火を置いた。焚火デビューのぬくぬくがやたら感動していて新鮮だった。夕餉はM上さんによる生ソーセージが入ったミネストローネ。胃袋もカラダもあったまった。
11/3(日) 寝坊して5時半起床。テントは暖かだったがツェルトに寝たぬくぬくは足元が寒かったとのこと。テントの結露はなかった。
7:23出発。笹尾根を登る。夜露でびっしょりになるかと思ったが乾いていた。傾斜が出てきて笹を掴みながらの登りになる。一面の笹藪で道などなさそうだが、足元ははっきり道がついているものだ。道さえ発見できれば笹のトンネルに潜り込むようにしてあとは平泳ぎの要領で両手で漕いで行けばいい。テンバから1時間ほどで丸盆岳分岐点に着く。ここに不要な荷物をデポし軽荷で丸盆岳をピストンする。
丸盆岳、今回の山行でいちばんの行きたかった山だ。見たかった景色にいよいよ会える。自分だけ気持ちマックス!富士山も見えてきたゼ。急なザレを下り主稜を行くと登高尾根分岐に出る。さらに笹を漕いでいくとカモシカ平に出た。明るくて広くてここにもいつか泊まりたい。これから行くたおやかな笹尾根と丸盆岳がみえる。展望が素晴らしくいい。丸盆岳へ笹藪を行く。膝程度の笹で歩いていて気持ちがいい。振り返ると緑の笹尾根、三角形の黒法師岳、その右肩にバラ谷の頭が並ぶ。これこれ、これが見たかったんよー。
10時 丸盆岳到着。山頂にはメットを被った2人Pがいた。これからガレ場が続く鎌崩へ行くのだろう。鎌崩もいつか行きたいところだ。
ゆっくり休憩をとり往路を戻る。
11:50ザックのデポ地に戻った。ここから黒法師岳は一投足だ。
11:52黒法師岳げっと。山頂の三角点は+でなく×印で超レア三角点だ。
黒法師岳からマーキングや赤テを拾いながら 笹藪を下る。尾根が広がりコルの手前で少し迷ったが右のやせ尾根に乗るのが正解。やせ尾根が結構長くて疲れもピーク。ここは去年歩いているはずだが全然記憶にございません! ツインピークスをまじめに登るこたぁない、とピークを巻こうなんてずるっこ根性だして結局疲労倍増。はあ。
二ツ山を越えると尾根が緩み森歩きとなり二重山稜となる。笹の緑とカラマツの黄色が美しかった。森を抜け視界が広がり眼前に前黒法師岳の白いガレが見えてきた。笹原から廃道となった林道に降りた。ここがヘリポート、14:50着。
またきちゃった。去年はほかに2Pいたけど今回はうちらだけ。テントが1000張りくらい張れそうな広大なところで一番気持ちのいいところにテントを張ろう。水場は林道から少し下降した沢からとる。林道に置かれた朽ちた消火器が目印だ。たっぷりの水を補給し焚き木を集め夕餉の準備。今晩もM上さんによる生の鶏肉鶏卵入り親子丼ぶり。おいち。結局この日はあとから1P4名がきた。深夜一瞬、雨がテントをたたいた。
11/4(月) 4時起き。満天の星。朝食を摂りヘリポートを6時出発。林道を行き終端部から前黒法師岳に取り付くのが容易だが、去年林道から見上げた稜線が気持ちよさそうだったので、今回は林道に沿った稜線を行く。思った通り、足元は笹原で紅葉したダケカンバやぶなの巨木の森だ。朝から気持ちがいい歩きだゼ。前黒法師岳へはひたすら登り。足首程度の笹歩きが気持ちよく口ずさむ。ぶなの森からツガやモミの黒木の暗い森になるとうっすらとガスが立ち込め幻想的になった。
7:50前黒法師岳到着!黒法師3兄弟すべていただきましたー。
気持ちのいい笹原と巨木の森、金の水、野性の匂いと存在感、静寂のなかの鳥や獣の鳴き声、漆黒の闇に黄色く浮かんだテントと笑い声。ひとけのない山域にどっぷりつかれた充実感と全荷物を背負って歩き通せたことの満足感、3日間天気に恵まれた日ごろのオコナイのいいメンバーへの感謝の気持ち。いろんな気持ちがまぜこぜになって涙が出そうだ。ありがとうねーみんな。
と思いつつ、寸又峡温泉まではまだまだである。温泉と打上げビールを楽しみに重い腰を上げるのであった。
記録/A原
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